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目の御話

第2章 幼い頃の御話


男になったのは今ので確認できたので、一刻も早くこの場から去りたかったのだが、足が動いてくれない。

術を使ったのと、さっきの行為の後なので疲労感が半端ではなく、力が入らない…


このままでは、いずれ人に見られてしまうだろう。



そう思っていると、綺麗なボーイソプラノの声が聞こえた。


「そこに居るのは誰?」


逃げようと必死になっているところだったので余計に大袈裟な反応をしてしまう。


「あれ?
どうして、男の人が倒れているの?」



(……どうしよう、術はもう使え無い。
どうやってこの場を乗り切りぬければ!?)



僕が悶々と考えこんでいると、
何を勘違いしたのかはわからないが少年に安全なところに行こうと言われ、連れてこられた孤児院。



******

そこで、院長先生に会い
僕に記憶が無いことを知ると、孤児院に入らないか? と勧めてくれた。


僕がインキュバスだということは自分で本能的にわかった。

でも、記憶が無いのでは一人で生きていけないだろうと思い、孤児院にお世話になることにした。






僕にあの路地裏で声をかけてきた少年は鹿野 修哉というらしい。

……カノと呼ぶことにした。


他に、木戸 つぼみという少女と瀬戸 幸助という少年をカノから紹介された。


「……よろしく。」

「これから、よろしくっす!」

「改めて、よろしくねっ!
トウ、って呼んでもいいかな?w」



「堂崎 奈都、トウで良いよ、よろしく」


キドは少し怯えながら、セトは特徴のある話し方で、カノは飄々とした雰囲気でそれぞれ自己紹介をしてくれた。




そのうちに、カノたちと仲が良くなり一緒に行動することが多くなった。








それから半年くらいがたった時、僕を引き取りたいという人たちが現れた。


養子として引き取られるか孤児院に残るかで大分悩んだが、
時々、孤児院に遊びに行かせてもらうのを条件に養子となることにした。




だが、時が経つにつれ、僕は孤児院に行く回数が減り、数年前には行かなくなってしまった。



だから、もう会うことはないだろうと思っていた……
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