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【R18】夏だ!花火だ!夏祭りだ!

第4章 夏祭り ※





「・・・?」


「お前はエルヴィンの女だ」


その言い草がおかしく、声をたてて笑う。


「わっちは遊女。寝る男は旦那だけじゃない」


「ああ、そうだな・・・何より、エルヴィンにも故郷に妻と子がある」


そう。
吉原は別世界。
ここで結ぶ夫婦の契りは、戯れでしかない。

「お前は、そんな生活に嫌気はささないのか」

「嫌気?」

そんな感情は、とうに忘れた。
処女を無くしたその日に捨ててしまった。

「そんな感情が少しでもあったら、この生き地獄で生きてはいけない」

でも、どうして?

今、貴方の顔を見ていると、自分に対する嫌気がふつふつと湧いてくる。


「何か願いはないのか・・・?」


リヴァイはそっとハヅキの隣に横たわりながら、髪を優しく撫でる。


願い・・・?
それを口にしていいの?


「・・・そんなものありゃしません」

「あるだろう。人間ならば、な」


布団の上で、裸の遊女を腕の中に収めながら抱かないとは・・・
しかも、遊女を人間扱いするなんて・・・こんな男本当に初めて。


「わっち・・・」

涙が出そうなことを悟られないよう、リヴァイの胸元に顔を埋める。


「わっちだって町娘のように木綿の着物を着て・・・夏祭りに行きたい」


もう、豪華な着物もかんざしもうんざり。
重たい衣装を捨てて、草履で町を自由に歩くの。

お面に、風車。
町を練り歩く大神輿。

もうすぐ江戸で大きな夏祭りが開かれる。

それに行きたい。

でも、吉原の大門を出て外に行くことは許されない。
折檻の上、殺されることだってある。



「そうか・・・」


リヴァイは切なそうに瞳を揺らすと、ハヅキの体を強く抱きしめた。
その手があまりに温かく、そのまま眠りに落ちていく花魁の背中を、いつまでもいつまでもさすっていた。





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