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【R18】夏だ!花火だ!夏祭りだ!

第4章 夏祭り ※




「り・・・ばい・・・?」
「ああ、お前たちの言葉では言いにくいかもしれん。好きに呼んでくれて構わない」
「そう・・・では、“お前さん”と」

ハヅキは上座からリヴァイを見つめた。
頑なに西洋の服を着ているエルヴィンとは違い、リヴァイは品の良い着物を粋に着崩している。
その黒髪に、灰青色の生地がよく栄えていた。

「どうして今宵はわっちを?」
「それは俺も聞きたい」

片膝を立て、ハヅキをじっと見つめた。

「なぜ、俺の呼び出しに応じた」

「・・・お礼を申し上げたかった・・・ただそれだけでありんすよ」


自分だけの力では、あの死にゆく若造に夢を見させることができなかった。
私の生業は、男を悦ばすこと。
それをまっとうさせてくれて、ありがとう。


「お前さんこそ、わっちの揚代を払ってまでなぜここに?」

「別に・・・大した意味はない」

新造に酒をつがれながら、リヴァイはじっとハヅキの唇を見つめた。


「気まぐれ、でありんすか」

「・・・・・・・・・・・・」


気まぐれ程度で、江戸の町民ならひっくり返っても払えないような金を出したのか。

「変な御人」

はだけた裾から、リヴァイの引き締まった太ももがのぞく。
湿気のせいか、少し汗ばんでいるようだ。
その奥に、どのような“男”を秘めているのだろう・・・


ああ、抱かれてみたい。

遊女としては失格の欲望が湧き上がる。


ハヅキは立ち上がると、リヴァイの隣に腰を下ろした。
そして、空になった盃に酒をそそぐ。


「いいのか。エルヴィンにも酌はしないのに」

「気まぐれ、でありんすよ」


近くで見るリヴァイは、より男前だった。
鼻筋が通り、薄い唇をしている。


「お前さんと、旦那様とはどういう間柄で?」

「俺は、お前たちの言葉でいうと・・・用心棒だ」

ハヅキがそばにいるからか、それとも少し酒が回ったのか、頬に赤みがさしていた。

「エルヴィンは国から特別に命を受けた軍人だ。あいつの敵は多い・・・江戸で殺されないように護るのが俺の仕事だ」

「腕っぷしが強いのね」

「まあ・・・これでも、な」

それは本当だろう。
腕には筋肉がついているし、胸板も厚い。



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