第3章 花火 ※
「・・・お前と家族になったら、どんな感じなんだろうな」
裸のまま抱き合いながら、エースがポツリと呟いた。
「船の上にいるか、土の上にいるかは知らねぇが、楽しくやれそうだ」
「そうね。でも、あなたそっくりの子供が産まれたら大変そう」
すると、エースは複雑そうな顔でハヅキの下腹部を撫でると、優しくキスをする。
「おれは、自分のこの呪われた血を後世に残したくない。ガキはいらねぇから、お前とふたりで家族をやっていきてぇ」
その言葉は、暗にそんな未来がふたりには訪れないことを物語っていた。
エースは体を起こし、ハヅキの唇に深くキスをした。
絡み合う舌に、チリリと焼けるような熱さを感じる。
「ハヅキ・・・」
そして、頬、首筋、鎖骨、乳房、鳩尾、臍と、いたるところに唇を這わす。
そのたびに、軽い火傷をするような感覚を覚えた。
この火を、熱を、全身で覚えていて欲しい。
黒ひげを始末し、オヤジが海賊王になるのを見届けたら迎えに来る。
「愛してる・・・」
これが、エースがハヅキへの愛を口にした最後だった。