第3章 花火 ※
何時間でも、求められるがままに体を許す。
そして、何度目の絶頂を迎えただろうか。
気づけば、窓から見える空が白んでいた。
「何?」
下半身に甘い痺れを感じながら呼吸を整えていると、エースが自分を見つめていることに気がついた。
「いや、何でもねぇよ」
髪を梳いてくれる指がとても熱い。
「・・・焦がさないでよ」
「おれがどれだけこの力と付き合ってると思ってる。そんくらいの制御はできる」
ニッと笑って、爪の先にマッチ棒程度の火を生み出した。
「それとも、もう一度“燃え”てェか?」
海の男の体力は果てしない。
筋肉質の腕で仰向けにされながら、再び愛撫が始まった。
「アァ・・・」
何度熱が放出されたか分からないベッドは、その激しさを物語るようにシーツがグチャグチャになっていた。
枕と掛け布団は床に落ちている。
「ハヅキ」
「エース・・・ッ・・・!」
恐らく、これが最後の交わりとなるだろう。
エースはハヅキの体を抱き上げると、より深く結合できるように太ももの上に座らせ、抱き締める。
すっかりエースの男根の形に馴染んだ体は、強い快感を双方に与えた。
「あぁ・・・エース・・・」
できるなら、このまま燃え尽きて灰になりたい。
そうすれば、あなたが去っていくのを見ずに済むのに。
太陽が昇らなければいいと、この時ほど願ったことはあっただろうか。
だが、時間は無情にも過ぎていく。
髪が汗でべっとりと肌に張り付き、苦しそうに眉根を寄せるふたりは、最後の絶頂を迎えようとしていた。
「ハヅキ、愛してる・・・!」
それは、想いを絞りだすような声。
そして、体の中に炎とは別物の熱が放出された。