第3章 花火 ※
「いつか会ってみたい、その弟さんに」
するとエースは遥か海の彼方を見つめ、目を細めた。
あの泣き虫は今、どこで何をしているんだろうか。
アラバスタで再会することができたが、この広い海原でお互いに海賊をやっていたら、なかなか会うことはないだろう。
だが・・・
「そのうち、このへんぴな島にもあいつの名前が届く日がくるさ。おれの弟だからな」
きっと、世界を震撼させるような騒ぎを起こすだろう。
もしかしたら、オヤジの手にも負えないかもしれない。
あいつの“夢の果て”を見るのが、楽しみだ。
「エース」
優しい笑みを浮かべるそばかす顔を、ハヅキは両手で包んだ。
「海賊ってみんなあなたみたいな人ばかりなの?」
「さぁな。だが、みんなおれと似たようなバカばかりだ」
みんな、おれの家族。
鬼の血を引くおれに、生きる場所を与えてくれる。
「そう・・・じゃあ、私もどうやらバカだったようね」
背伸びをして、エースに口付けをする。
「あなたに抱かれたいと・・・あなたを愛したいと思ってしまうから」
すでにログは溜まっている。
明日にはあなたは旅立ってしまうだろう。
でも今宵だけでいい。
この身が燃え尽きるまで、あなたがここに居たという証を体に刻みたい。