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【R18】夏だ!花火だ!夏祭りだ!

第3章 花火 ※




もし、自分が海賊でさえなかったなら。

オヤジという絶大な存在がなかったなら。


その選択肢も悪くなかっただろう。


エースは後ろから抱きしめているハヅキの左手を取り、一緒に空へと腕を伸ばした。
その手首に付けているログポースは、すでに次の島“バナロ島”を指している。


「熱くねェから、安心しろよな」


自分の手のひらに重ねるようにハヅキの手を乗せ、小さなの火の玉を幾つも生み出す。


「暖かい」


ハヅキは微笑んだ。


「これはおれの命だ。火はどこにでもある。どこにでも生み出すことができる」


ユラユラと優しい光を放つ、蛍火。
ふたりを包み込む。

今は、共に生きることができない。
だけどいつか。

すべてが片付いたら、お前をオヤジの船に乗せよう。


エースはハヅキの顔を上に向けると、唇を重ねた。



「ハヅキを抱きたい」



生きた証を残したい。
誰よりも自由に生きたい。

そんな自分の生き様を変えてしまうような女性。

出会ってしまったことへの軽い戸惑いと、強い憧れを感じる。
自らの運命を悟っていただろう、“ゴール・D・ロジャー”もこんな想いで、南の島に住んでいた母ルージュを抱いたのか。


ハヅキはエースの頬を撫で、目を伏せた。



「あなたが私を抱きたいのなら、私をひとりにしないという証を見せて」



エースは笑った。


「そいつはしばらく守れそうにねェから、代わりにこれをやる」

ゴソゴソとポケットをまさぐり、汚い紙切れを手渡す。

「これはビブルカードっていうもんだ。どれだけ離れていようと、こいつが必ずおれの所在を示してくれる」

弟にも渡したんだぜ、と笑った。
出来の悪い弟を持つと兄貴は心配なんだ、と。





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