第3章 花火 ※
記録指針(ログポース)が指し示したから寄っただけの島。
ちょうど辿り着いたところで、たまたま浜辺を散歩していたハヅキと出会った。
岬にある家にひとりで暮らしているという、ごく普通の女だった。
食いもんはねェか?
お腹すいてるなら、あなたが私を殺さないという証を見せて。
それが最初に交わした言葉だった。
ハイビスカスが庭に咲く、真っ白な壁の家。
そこでハヅキの作る、この島の風土料理はとても美味かった。
その夜、今度は寝床を求めた。
まだ会ったばかりの男を泊めるということに、ハヅキは渋った。
寝床が必要なら、あなたが私を犯さないという証を見せて。
本当は、その気になれば野宿だって構わなかった。
しかし、ハヅキの笑顔を見ているうちに、生まれて初めて誰かと一緒にいたいという気持ちが湧き上がった。
その夜、ベッドの隣に椅子を置き、横たわるハヅキの寝顔をいつまでも見つめていた。
その頬はとても柔らかそうで、唇はとても甘そうで。
自分を産むために命を落とした母もそうだったのだろうかと、その体には指一本触れることのないまま思った。
そして、自然な流れだと言えば、そうだったのかもしれない。
ハヅキの身体を求めた。