第3章 花火 ※
身体が熱い。
それは、この真夏の夜のせいか。
それとも、メラメラの実を食した彼のせいか。
「ん・・・」
全身に酷い気だるさを覚えながら、荒れた呼吸を整えようと天井を仰いだ。
隣には、つい今しがたまで共に快楽に溺れていた男が、頬杖をつきながらこちらをジッと見つめている。
「何?」
「いや、何でもねぇよ」
まだ熱を帯びている指で髪を梳かれた。
「・・・焦がさないでよ」
「おれがどれだけこの力と付き合ってると思ってる。そんくらいの制御はできる」
ニッと笑って、爪の先にマッチ棒程度の火を生み出した。
「それとも、もう一度“燃え”てェか?」
ああ、ずっとこうしていたいけれど、それは叶わない願い。
彼は海賊だから仕方ない。
ずっと一緒に居てと懇願しても海の向こうへ行ってしまうのだから。
「アァ・・・」
乳首を甘噛みしながら、濡れた蕾みに指を出し入れする。
まだ物欲しそうに締め付けてくるのがいじらしく思えて、日焼けしたそばかす顏に満足気な笑みが浮かんだ。
「ハヅキ」
イーストブルーからグランドライン。
最初はひとりだった。
仲間を集めて結成したスペード海賊団。
その後白ひげと出会い、背中に“誇り”を背負って生きることを決意した。
そして、いまはまたひとり。
大罪を犯した裏切り者を始末すべく、海を旅している。
これまでたくさんの人と出会った。
大事な弟との再会も果たした。
そして、この女と出会った。
「エース・・・ッ・・・!」
愛してる・・・