第2章 海
「それよりも、じい・・・その隣にいるお嬢さんだが、どこかで・・・?」
花道はジッとハヅキを見て、一生懸命記憶の糸を辿っているようだった。
そして、どうやらそれを手繰り寄せることに成功したらしい。
「おお! 分かった!」
「こんにちわ、桜木君」
ニコリと笑うハヅキに、確信を得たようだ。
「ホケツ君!」
確かにそんなあだ名を付けられていたな、と牧は苦笑いをした。
ハヅキももう一度大きく笑う。
「藤真ハヅキです」
藤真にそっくりな笑顔で、花道に向かってお辞儀をした。
「兄と素晴らしい試合をしてくれてありがとう」
「はっはっはっ! このリバウンド王・桜木の前に、ホケツ君は何もできなかったようだがね」
まったく、この1年坊主は・・・
牧は呆れたが、なんだか許せてしまうのも、花道の才能かもしれない。
「それにしても、じいとホケツ君の妹さんが歩いているということは・・・」
花道は腕組みをして、空っぽの脳みそで何かを考えこんだ。
そしてピーン!ときたのか、牧に向かって憐れむような視線を向けてくる。
「・・・お互い天敵の妹に惚れるとは・・・苦労するな、じい」
「??」
「ま、がんばりたまえ!」
天敵とは藤真のことか?
牧が首を捻っているうちに、花道は笑いながら病院の方に行ってしまった。