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【R18】夏だ!花火だ!夏祭りだ!

第2章 海






「海に行こうよ」

帰り道。
牧の少し前を歩くハヅキは、ニコリと微笑みながら振り返った。

「今からか? 荷物があるだろ」
「いいの! 行こうよ」

こんな我が儘すら、可愛いと思えるのだから仕方ない。
ぷーっと膨らませているハヅキの頬をつねりながら頷いた。


「しょうがないヤツだな。じゃあ、今から行くか」

体を休めたい気もしたが、ハヅキと一緒にいたい気持ちの方が強い。
それに今、ひとりになりたくないのもあった。



海へ行く道すがら、防波堤を歩いていると前から見覚えのある男がやってきた。
あのツンツン頭に、にやけた顔は・・・

「あれ、牧さん」

「仙道」

陵南高校のエース、仙道彰。
釣竿を持って、Tシャツに短パンというラフな格好をしている。

「奇遇ですね。あれ、隣にいるのはもしかして・・・」

「こんにちわ」

さっきまで我が儘を言っていたのはどこへ行ったやら、おしとやかな笑顔で挨拶をする。
猫かぶりなところも“そっくり”だ。
牧は苦笑いをした。

「へえ。魚住さんから聞いてはいましたが・・・本当に“似て”ますね。いや、お似合いですよ」

「からかうな、仙道」

しかし、牧はまんざらでもないようすだった。
少々意外だったが、傍目からでも心底彼女に惚れているのが分かる。
バスケットコートの上では絶対に見せないような表情に、仙道は珍しいものを見たなと思った。


「牧さんがその荷物を持ってここにいるってことは、全国大会が終わったということですね」

それまでヘラヘラとしていた仙道の瞳が、一瞬にして鋭い光を宿す。


「次はオレ達が行きますよ」


「・・・ほう」


他人にはあまり興味を示さない男だ、海南が準優勝に終わったことは知らないだろう。
牧が驚いたのは、その仙道が高みを目指しているということだった。
たとえ公式戦でなくても、目の前の試合が楽しければそれでいい、そういう男だと思っていた。



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