第1章 夢中
「でも小説に季節なんて関係あるアルか? どっちみち、このボロ小説を読んでくれてる物好きは、春に読んでるかもしれないし、秋に読んでるかもしれないネ」
これまた最もな質問である。読者の気分次第で読まれる小説に、季節など有って無いようなものだ。だから今度は、冒頭から余計なツッコミを入れた新八へと、怒りの矛先が向いた。
「そもそも新八ィ、オメーが『まだ八月だぞ!!』だなんて言わなきゃ、そのまま読者に『今は冬ですよ〜』って誤摩化せたのによォ。何でアニメに忠実になってソコを『まだ二月だぞ!!』って叫ばねーんだよ。余計に炬燵ネタがしづらくなっちまったじゃねーか。フォロー仕切れないんなら、ツッコミなんかすんなよな」
「アンタらが『今年ももう終わり』だなんて言うからだろうがァアア!! いくらアニメから引用したネタだからって、年末年始でもないのにソレを聞いたら見過ごせないでしょう!! って言うか、作者がもうギャグパート限界なんですよ!! さっさと物語を進めるために、それぞれの配置つく!」
「ギャグパートォ? これの何処が? ただアニメのネタに乗っかってグダグダしてただけじゃねーか」
「良いからサッサと話を進める!!」
勢いよく炬燵から立ち上がった新八は、手拍子を二回ほどして己のリーダーシップを主張した。それを見た銀時と神楽は、若干イラッとしながらも次の言葉を待つ。
「神楽ちゃんは定春を連れて雪の中を駆け回る! 銀さんは菊さんを連れて夕食の用意! 僕は姉上がダークマターを造り出す前に家に帰る! 揚羽ちゃんは炬燵でゴロゴロ!」
とても聞き捨てならない。唯でさえ炬燵から離れたくないと言うのに、揚羽以外は面倒な要求ばかりされている。その中で、最も不満を抱いたのは神楽だった。