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さよなら桃源郷(銀魂) 番外編

第1章 夢中


「まあ要は、今年も充実した一年を送ったって事じゃなくね?」

そう締めくくった銀時は、満足げに再びお茶を啜った。会話も一旦終了した事だし、あとはいつもみたいにダラダラと過ごせば日常通り。

このまま平和に一日が終われば、小説の続きは不要だろう。前代未聞の短さで小説を書き上げようと作者はキーボードを打ち込むが、それを阻止するかのように、新八が臨場感を持って炬燵を両手で叩く。

「送ってねーよ!! まだ八月だぞ!! 『今年も終わる』影すら見えねーよ!! しかも何でわざわざテレビアニメの時間稼ぎネタ使ってんだよ!! このクソ熱い真夏の中で、炬燵に入る必要がどこにあるんですか!?」

最もなツッコミである。時期外れな炬燵ネタは、常識を赴くツッコミキャラとって理解しえない状況だ。しかし、そんな納得のいかない新八に揚羽が補足を加えた。

「仕方ないよ、新八お兄ちゃん。だって小説のリクエスト貰ったの、一月よ? その時は『まだまだ寒い時期なので、炬燵でほのぼのと幸せを感じるお話が読みたい』って、ひすなさん丁寧におっしゃってくれたのに、作者の腰が重いんだもの。あ、神楽お姉ちゃん! ミカンちょうだい!」

「ほらヨ」

「ありがとう!」

満足げにミカンを受け取れば、揚羽の意識は果物へと移る。短く切り揃えた爪では、皮を剥くのに苦戦したが、何とか水々しい果実だけを取り出して味わう。

リラックスしながらも内部事情を漏らし始めた揚羽を皮切りに、菊も一つ、裏話を口にした。
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