第6章 森の中で。
あまりにも理解しがたい現実を突きつけられてパニックになってしまった。ソラ。
どうしてだろうか、いつどこで奥へ入り込んでしまったのか、思い出そうとしても何もわからない。
レイン「…落ち着いて下さい」
木から落ちそうになるソラを抱きとめる。
ソラ「いや、この状況で落ち着けるわけないよ!?」
バタバタと暴れるソラを抑えるためにギュッと強く抱きしめると「ぐえ」と言って暴れなくなった。
レイン「僕、ハメられたと思うんですけど」
ソラ「へ?」
突然訳のわからない発言をしたレインを見上げる。
ソラ「ハメられた…って誰に?」
レイン「マリアさんにですよ。」
ソラ「…え」
ソラはレインの言った言葉に耳を疑った。しかしレインは確かにしっかりとマリアの名前を口にしたのだ。
ソラ「でもどうして!?だってあんなに良くしてもらったのに…」
必死にその理由を探すソラの言葉を遮るようにレインは告げる。
レイン「だいたい。初対面の相手を家に招き入れて泊まらせるなんておかしいと思ったんですよ…しかも僕達は空から落ちてきたんですよ。そんな怪しい人を快く居候までさせるなんて信じられなかったんだよ。」
はあ…と深いため息をつくレイン。
それを聞いたソラは、「あー、なるほど!」と手をポンと打った。
そしてハッと思い出したかのように言った
ソラ「じゃあこの森は!?なんでこんな魔法みたいなっ…」
レイン「だからそもそもマリアは人間じゃなかったんですよ。手当の時偶然マリアの鎖骨が見えたんだけどそこに悪魔の印である黒い奇妙な模様が見えたんだよ。」
ソラ「模様とか初めて聞いた!」
レイン「虹の番人だろそれくらい知っとけ。…つまり僕達が番人として留守の今、あいつら悪魔にとってはお空の上の国へ入れる最高のチャンスというわけだ。」
深刻そうな顔をする少年とは裏腹に、ソラはいまいちピンと来てないようだ。そんな顔を見てまたもや深いため息をつく。
レイン「つまり、お空の上の国が危ないということだ。はは、虹から落ちたのも全部あいつらが仕組んだんだな。いつもなら虹の下には雲があるはずだもんな。気づけよ僕…」