第1章 Happy Birthday to You!!
さて、夜は完璧だとして。
日中はどう過ごすんですか?なんて声にお答えするとしよう。
まず電車に揺られて、海辺まで行こうと思ってる。
せっかく夏真っ盛りな時期なんだ。泳ぎは出来ないけど、海辺を歩いたり、近くのカフェからでも絶景を楽しもうという計画だ。
それから近くのショッピングモールをぶらぶらする。
映画を見てもよし、買い物をしてもよし、イベントに参加するもよし。まぁ無難なデートだ。
そう、ここで無難さを演出する事で、後半のディナーをより感動的にしようという魂胆だ。
いい時間になったら「夜は予約してあるんだ。」って陽子を誘い出し、例のレストランまで移動する。
そして途中で「ドレスアップしないと行けないから。」ってブティックに入るんだ。
そのままドレスはプレゼント。ほら、香水ってそんなに高くないしさ。セットでちょうどいいぐらいじゃん?
着ていた服は荷物になるから、お店で郵送してもらう。もしショッピングで買ったものもあったら一緒に送ってもらう。スマートにディナーを楽しめるわけだ。
・・・ちなみに僕のスーツ代まで出してる余裕は無いので、すでに最寄り駅のコインロッカーにぶち込んであります。トイレで着替えさせてください。ごめんなさい許して。
でまぁ、ちょっと情けない僕に笑いつつ、着いた先は高級レストラン!って流れ。
完璧じゃね?付け入る隙も無いぐらい完璧じゃね?僕ってば天才?素晴らしい。
陽子もハードルを上げてくださったけど、それを華麗に飛び越えるぐらいの計画じゃないですかね?
テンションの上がった僕は、鼻歌を歌いながら残りの掃除に取り組む。
・・・確かに自分の頑張り具合にも惚れ惚れするし、自己満足なところもあるんだけど。
何よりも陽子が喜んでくれたら、それだけで僕は嬉しい。