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【黒バス】まどろみ時間

第2章 スケッチブック/黄瀬


見せてくれた絵を見て素直に驚いた。

「……、あの、これ、」
「私、見たままにしか、描けない」

描かれてたのは俺だった。それも、バスケしてる。

「その、バスケしてる黄瀬君、かっこよかったから。
でも…勝手に描かれるの、嫌だった、よね、ごめん」
「そ、そうじゃなくて!!すげー上手いし、嬉しい!!」

かっこよかった。その言葉も嬉しかった。
鐘が鳴って急いで自分の席に戻る。
授業中、どうしても彼女が気になってチラりとそちらを見ると目が合った。
自惚れかも知れないけど、目が合った彼女の顔は少し赤かった気がする。
そのことがなんだか気恥ずかしくて今日はそれ以上声をかけらんなかった。

「黄瀬、女の子が呼んでるぞ」
「はーい…って、えっ?!」

ただ、その日の放課後。
練習が終わってさー今日帰ったら晩御飯何かなーとかって考えて着替えて体育館を出たら森山先輩がそう教えてくれた。

「な、どうしたんスか、急に」
「…その、ごめんなさい。勝手に描かれるの、嫌だったよね、ごめん」
「え?!え、いや、全然いやなんかじゃないって!」
「でも、今日あの後全然話しかけてくれなかったから…」
「…あぁぁあ…もう……何そんな可愛いこと言ってくれちゃってるんだよ…」
「き、黄瀬君?」

やばい。今すげー顔赤くなってそう。
話しかけてくれなかったから、って何それ。めちゃめちゃ可愛い。
そんなん怒ってるわけじゃなくてただ俺が恥ずかしかったとかだっせー理由なのに。
謝らせちゃって申し訳ないって気持ちとすっげぇ可愛いなって気持ちでいっぱいだ。

「怒ってないよ、これはホント」
「ほ、ほんと。そう、なら良かった…」
「もー何ホッとした顔しちゃってんスかー」
「…授業中とかも、沢山その、勝手にスケッチしてて」
「え、マジで?!うわぜんっぜん気付かなかった…」

だから今日目が合ったのか。でも本当に気付かなかった。
俺より後ろの方の席なんだし顔は見えないんだろうけど。

「そうだ、これから練習普通に見に来なよ!ちゃんが来るなら俺スゲー頑張るよ!
あっ、でもこんな遅い時間まで女の子が一人で残ってんのは駄目ね?」
「別に、いつも通り」

そう言うと少し悩んだ末に彼女は鞄の中からスケッチブックを取り出した。
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