第1章 本編
「明日からまた下か…」
明日からは、レギュラー以下の生活に逆戻りすることになるだろう。しかし、レギュラーの座に戻る方法が見つからない。
「クソッ!」
── 亮? ──
「あぁ?」
俺はいきなり名前を呼ばれた。勿論、ドアが開いた形跡はない。
「空耳か?疲れてんだな、俺」
── 無視すんな! ──
「!」
やはり声がする。空耳な訳はない。誰かが俺を呼んでいる。
「誰だ!」
俺は声を張り上げる。周りを見渡すが、変わったことはない。
「だぁ!考えるのもウゼェ!寝る!」
俺は電気を消して、布団を被った。その内、俺は夢へと堕ちていった。
── 私だよ。亮…どうして気付いてくれないの? ──
俺は久しぶりに夢を見た。情景はあの日の夕暮れ…
「ねぇ亮?話聞いてる!?」
「わりぃ…何も聞いてなかった」
「今日の試合どうだったの?」
「負けちまった…」
俺は、夢の中で語り始めた。橘に負けたこと、レギュラーから外れたこと、全てを話した。なぜだか少し、心が軽くなっていった。
「早速約束破っちまったなιスマン…」
「よし。チーズサンドで手を打とう」
峰はいきなり提案してきた。
「何で俺が峰に奢らなきゃならねーんだよ!?」
「奢ってくれるの?やりぃ♪」
「…っ!はめられたゼ…」
俺達は自然に笑顔になっていた。
「亮はねぇ、もっともっと努力した方がいいよ」
「俺は精一杯やってるつもりなんだが…」
「ダメダメ!そうだなぁ…いっそ願掛けしてた髪バッサリとかw」
「それだけは勘弁」
俺達はそんな会話をしていた。昔のように…けれど、峰は突然こう言った。
「もっと努力しなよ?私、応援してるから…」
「あぁ」
「じゃあね…また墓参り来てね?」
「!おいっ…峰っ!」
─────ガバッ
俺は勢いよく起き上がった。
「夢…?」
何故だかそんな気がしなかった。
「…ありがとよ…」