第1章 本編
「大…好き…」
「俺も好きだ…」
「最…後に…聞け…良か…」
峰は泣いていた。そしてゆっくり瞳を閉じた。
「…峰?」
峰はピクリとも動かない。俺は初めて涙を流した。峰の死に…
「…俺は誓う。もう絶対負けない!お前との最後の約束だ」
これが俺と天国にいる峰との約束…しかし、俺は負けてしまった。橘という男に…しかも、レギュラーから外されてしまった。
「…峰…」
気がつくと、俺は峰の墓に来ていた。
「激ダサだな、俺。あんなところで負けるなんて…」
俺はぽつりぽつりと語り始めた。
「約束…早速破っちまったなι」
俺は苦笑いをした。
「レギュラーからも外されちまったしι」
俺は空を見上げた。
「あ~あ…これからどうすりゃいい?なぁ、峰?教えてくれよ…」
空に手を伸ばし、何かを掴む動きを繰り返す。
「…はぁι」
そして深いため息をひとつついた。
「逢いてぇなぁ…」
俺はぼそりともらした。
「…さぁて、帰るか。じゃな、峰!」
俺はテニスバックを背負って、峰の墓を後にした。
── 亮… ──
「あぁ?」
俺は振り返った。勿論人影はない。
「気のせいか?」
俺は家への道を急いだ。その夜のことだ。