第2章 始まりは突然に
バタンッ!!
「「きゃあああああッ!!」」
すると、入口から突然大きな音と客の叫び声が聞こえ、目を向けると数人の強面の男達が店の中に入ってきた。
『なんだ?あいつら』
英子「あ、あんたっ…!!」ガタッ
真ん中にいる初老の男を見て英子さんが勢い良く立ち上がり男を見やる。
どうやらあいつが話に聞いてた旦那らしい。
英子「あんた、なんで此処に…!?」
組長「お前が夜になるとフラフラどっかへ出掛けるって若い者から聞いてな…。尾行させたらこの店に入ってく所を見たっつーから仕事切り上げて帰ってきたんだよ…」
言い終わると組長さんは英子さんから俺に視線を移した。
組長「お前か……俺の女誑かしやがったのは……」
そう言うと組長さんは懐に手を入れて何かを探り出した。
取り出した黒い塊は、紛れもなく拳銃だった。
『いっΣ?!ヤベッ!!』ガタッ
思わず立ち上がったが、時既に遅し。
ドンッ!!
トリガーが引かれ、撃たれた鉛玉が俺の脳天目掛けて飛んでくる。
『ッ!!』
反射的に腕で顔をガードする。
周りからは悲鳴が聞こえる。
そりゃあそうだ、目の前で人が撃たれたのだから。
いや、まだ生きてるから撃たれてはないか。
でももうすぐ直撃する。
(こりゃ死んだな、俺…)
呑気にそんな事を考えていると、より一層周りの悲鳴が大きく聞こえ、身体を不思議な感覚が包み込んだような気がした。
すると悲鳴はだんだん小さくなり、次第には何も聞こえなくなった。
(あっ、死んだな…俺)
だが撃たれたのにも関わらず、痛みは全く感じない。
それに死んだのならばこうして死んだのだなと考える事すら出来ない筈。
(あっ、生きてるわ俺…)
恐る恐る目を開けると、ガードしていた腕の間から見慣れない景色が見えた。
(え…?)
腕を降ろして辺りを見渡すと、周りは一面木が生い茂る森だった。
『……何、此処?』
自分の今の現場の把握が出来ず、数十分ばかし俺はその場で呆然と立ち尽くした。