第2章 始まりは突然に
『なんだよ此処‼いつになったら出られんだよ⁉』
呆然とすること40分、結局どう頭を使ってもなんで自分がこんな場所にいるのかわからなかった俺は、取り敢えず人通りのある所を目指して歩き出した。
撃たれたと思ったらいつの間にか森の中にいた。
全くもってわけが分からん。
頭はまあまあ良い方ではある。
だが、こればっかりはどうしても分からん。
サブロー…流石のうる兄さんもお手上げだよ。
『お?なんか水が流れる音するな…。川でもあんのか?』
音のする方へ行くと、結構大きな川があった。
『あ、マジか。丁度良いや、今日は結構飲み過ぎちまったから酔い醒ましに少し飲むか…』
スーツの袖を捲り屈み込み、水を手で掬い口に運ぶと一気に飲み干した。
『ぷはぁ〜っ‼あ〜生き返る‼』
ついでに顔を洗うためアシメ部分を耳に掛け、川の冷たい水を顔にぶつける。
『かぁ〜、冷て〜‼』
ガサッ‼
すると、突然目の前の林の奥から侍の様な格好をした数人の男達が出て来た。
(なんだこいつら…テレビの撮影か何かか?)
侍1「な、なんだ貴様‼」
『いや、なんだって言われても…。あんたらこそ誰だよ…?』
侍2「わしらは、この地を治める大大名、織田信長様に仕える者だ‼」
『いや…ドラマか映画かなんか知らんけど、あんたらの役柄を訊いてんじゃなくてよ…』
侍3「怪しげな格好をした奴め…ひっ捕らえるぞ‼」
侍4「おおっ‼」
そういうと俺を拘束しようとする侍もどき達。
『は?いや、事態がよくわかんねーんすけど…』
侍5「ええいっ、大人しくせんか‼」
侍1「来い‼殿の御前に突き出してくれる‼」
『えっ?いやあの、ちょ、ちょっとまっ…』
結局事態が呑み込めないまま、俺はこいつらの言う殿とやらの所へ連行された。
【始まりは突然に】終わり