第2章 始まりは突然に
成人してからもこの仕事を辞める気はサラサラなかった。
此処より稼げる所なんか他に思い付かねーし、何よりこんなおいしい仕事、他にないから。
元々女好きの俺にとって、この仕事は天職だ。
此処を辞めれば今みたいに女の子とイチャイチャする事はなくなる。
それは絶対にイヤだ!!
だから成人して普通に働けるようになった今でも俺はこの店で働いている。
いや、別にレズってわけじゃねーよ?
ただ女の子が好きなだけなんだ!
可愛い女の子が好きなだけなんだ!
綺麗なお姉さんも大好きなんだッ!!
…これ以上言うとマジでレズみたいだから止めておこう。
女5「てゆーか潤ってこの店に来て随分経つよね〜。もう何年だっけ?」
『もう30年ぐらいか…中学ん時からだから』
女3「え〜マジっ!?チョー長ッ!!」
女4「なんでこの店で働く事になったの?」
『13の時に親父が事故って死んじまってよ…母親は小さい時に死んじまってるし、施設に入りたくなくてフラフラしてた俺にオーナーが声掛けてくれたんだよ』
女2「へぇ〜…でもそれ友達とかに反対されなかった?」
『いや、結構みんなイイじゃんって言ってたぜ?……あ、一人いたわ』
みんな『カッケー!!』とか『似合う〜♪』とかって言ってくれる中、あいつだけは反対した。
幼馴染みのあいつだけは……。
ー ダメッ!そんな所で働くなんて、お父さん許さないよ〜!! ー
ホストクラブで働かないかと話を持ち掛けられた事を当時11歳だった幼馴染みの弟分…サブローに言うと、即答で却下された。
ー いつからお前は俺の親父になった!!つか俺仕事で女の子に手ぇ出したりしねーよ!? ー
ー そーじゃない!!うる兄だって一応女の子なんだから他の男に襲われたら大変だろ!? ー
ー 一応ってなんだよ!?襲われねーし!!てか、どっからそんな言葉覚えてくんだよ!? ー
ー この間晩ご飯食べに行った時におじさんが教えてくれたんだよ!! ー
ー あんのクソ親父ッ!!また変な事サブローに教えやがって!! ー
ー そんな事よりうる兄、なんでそんな所で働くの!?おじさんが死んでお金に困ってんなら俺ン家に来ればイイじゃんか!! ー
ー サブロー… ー
俺は少し笑ってその小さな頭を優しく撫でた。