第4章 服
光秀とサブローも潤の腹部を見て思わず固まった。
弥助に至っては青褪めた顔で白目を剥き気絶している。
だが当の本人は気付いていないのか頭にハテナを浮かべ、首を傾げている。
『なんだ?どうしたんだよオメーら?ンな青い顔して…』
サブロー「うる兄‼か、刀が‼」
『刀?…あっ』
その言葉で目線を下に落とす。
そこで漸く己の腹部に小刀が突き立てられている事に気付く。
『コレで弥助さん白目剥いて倒れてんのか…よっ』ブシュッ
腹に小刀が刺さっているにもかかわらず、平然とした顔でそれを引き抜く潤。
抜いた瞬間そこからは血が噴き出しボタボタと床に流れ落ちる。
光秀「い…痛みは無いのか…?」
光秀は普段から青白い顔を更に青くして尋ねるが、潤はケラケラと笑って手を振る。
『ああ、大丈夫大丈夫w 俺痛覚が遮断されてっからw』
光秀「つう…か…?しゃ…だん?」
『まあ昔色々あってな、痛みを感じない身体になっちまったんだよ』
サブロー「あぁ、そういえば昔事故ってそうなっちゃったんだったね」
思い出したサブローがそう付け加える。
藤孝「だが…痛みを感じないとはいえ、重症には変わりない。そのまま血を流し続ければ一刻も経たんうちに死ぬぞ…」
藤孝の言葉に視線を下へ移すと、既に大量の血が流れ、辺りに広がっていた。
『あ、いつの間にか池出来てる』
光秀「と、取り敢えず血止めをせねば‼そこの者、すぐに主治医を…‼」
光秀が侍女に主治医を呼んでくるよう頼もうとするが、それを潤が止める。
『いや、医者は呼ばなくていいよ』
光秀「だが、そのままでは…‼」
『その代わり光秀、あんたやってくれ』
光秀「わ、わしが?」
『ああ。イヤか?』
光秀「いや…そなたが良いなら構わんが…」
『じゃあ頼んでいいか?』
光秀「わ、わかった。では、医療具だけ用意を頼む」
侍女「は、はい‼かしこまりました‼」
侍女は急いで厨房を飛び出していった。