第3章 再会
サブロー「………うる兄?」
帰蝶・お市「「うるにぃ?」」
恐らくこの目の前の男の事だろう。
サブローの言葉に二人は男の方に目を向ける。
すると男の方も抵抗を止め、目を見開きサブローをじっと見つめている。
サブロー「お兄さん、もしかして……うる兄なんじゃ…」
庭に降りて男に近付きながら問い掛ける。
すると、言い終わらない内に男が喋り出した。
『サ…ブロー?』
その口から自分の本当の名前が紡がれた。
サブロー(ああ、やっぱりだ…)
この戦国時代に来て何十年も経つが、一度も忘れた事なんてなかった。
ずっと会いたかった、大事な人。
いつも後ろひっ付いて回った、大好きな人。
サブロー(やっぱり、うる兄だ…!!)
サブロー「うる兄!!」
サブローは満面の笑みでその男…いや、女に思いっきり抱き着いた。
『サブロー!!』
女も抱き着いてきたサブローを強く抱き締め返す。
サブロー「やっぱりうる兄だ…!もう会えないかもって思ってたのに…まさかまた会えるなんて…!!」
『そりゃこっちのセリフだよ!!もう二度と会えねーかと思ってたぞ!!』
サブロー「会いたかったようる兄ぃ〜…!!」グスッ
女の懐に顔をうずめ、目に涙を浮かべるサブロー。
普段泣いてるとこなど見た事ない主君の涙に家臣達はもちろん、身内の帰蝶やお市は驚きを隠せないでいる。
『俺だってず〜っと会いたかったよ!どんだけ心配したと思ってんだバカヤロォ!!』
サブローの顔を見て涙声で言う女。
サブロー「うん…ごめんね…?」ズビッ
鼻を啜りながら謝罪する。
サブロー「それより…なんでうる兄がこの時代に…?」
『それが…俺にもさっぱり…。いきなり店にヤーさんが乗り込んできて、拳銃で撃たれたと思ったら突然身体を不思議な感覚が包んで…いつの間にか森ん中にいて、見つけた川で水飲んでたらこいつらに捕まって此処に連れて来られて……』
涙を服の袖で拭いながら答える女。