第1章 暑い
昼間に見た光景。
雲一つない快晴のもと、俺は両手にトマトを持って叫ぶ。
反響するのは俺の声じゃなく、蝉のこえ。
そして、案の定、流れの通りに現れたのはあいつ。
大きな帽子を被った紛れもないあいつ。
『わっ。すごい、銀髪だし目が赤い…そういうの、紅眼って言うんですよね?』
なぜか俺の足は前に出ない。
声も出ない。
ただ茫然と立ち尽くしているだけ。
『外国の方…ですよね?私、実際に外国人見るの初めてなんです!こんな山奥じゃ来てくれる人なんて日本人でも少ないから…。って、外国の人なのに日本語で話しても通じないか』
全部が全部。一連の流れ、間違いなく、
俺のみた貴重な
「ギルー!起きて起きて、朝だよ!」
「………ひな…?」
「…ひなちゃん?ヴェー…俺。フェリシアーノだよ。ひなちゃんの夢でも見てたの…?」
部屋を見渡すとひなの姿は無い。
俺は現実の感覚に引き戻されると何故か急に顔が熱くなった。
それを見たフェリシアーノちゃんがにやにやしだす。
「なんだ…なんか顔がやけに熱い…。」
今までに経験したことのないような変な感じがしてならない。