第1章 暑い
「………にしても肌白いな…」
俺は目の前で寝ているひなの顔をまじまじと見る。
こんな炎天下の下で生きている人間なのか、と思うほど白い。
今の時刻は夜中の1時過ぎ。
本田はひなの保護者に連絡をしてここに泊めることにしたらしい。
…まぁ、あの灯りのほとんどない道をコイツを抱えて連れてくのは困難この上極まりないしな。うん。
それより、一向に目を覚まさないな。こいつ。
本田に言わせると、
「寝る子は育ちますからそっとしておいてあげてください」
だとよ。
………だとよ‼
でも、人形みたいに寝てるひなを見てると些か心配にもなる。
「死んじまったのか!?」とか思って息を確かめたりもした。
けど、当たり前の様に呼吸をしていると俺は安堵の溜息をつく。
咳をしたりはするが、目は覚まさない。
「……兄さん、まだここに居たのか…?」
「…あ、ルッツ。おう、こいつが少し心配だからよ…」
ルッツも心配を隠せないのかどことなくそわそわしている。
「そうか。…とりあえず、兄さんまで体調を崩さないよう度の過ぎた夜更かしは禁止だぞ。」
「ん。ありがとな。」
俺を心配してくれてるルッツが可愛く思え、俺ははにかむ。
「では、Gute Nacht.」
「Gute Nacht!」
「今日の分の俺様日記には書くことが多くなりそうだなー」