第1章 暑い
「っぷはーっ!生き返ったぜ!!」
キンキンに冷えた麦茶を一気に飲み、体の中が冷やされる。
「んー、このトマト美味しいねー!あっ。そうだ!ねね、今日俺がこのトマトで料理振る舞うよー!」
「おぉ、それは楽しみですね。」
「さて、一息ついたことだし、そろそろ訓練に戻るか。」
「ヴェ~…もうちょっt「駄目だ。」
そんなこんなで3人は訓練に戻り、俺はまたトマト収穫。
じゃなくて、本田の家の中でうだーっと寝っ転がり、「あー」だの「うー」だの気の抜けた声を出している。無意識に。
「う"ー…俺様もルッツたちについてけばよかったぜー…。」
そんなことに少し後悔しつつまた声にならない声を発する。
「っ…。ひっ…。独り楽しすギルぜ…」
半ば泣きべその様になりながら口癖になりつつある台詞をこぼした。
「独り、楽しいですか?」
「!!」
目の前にさっきの女。
かっこ悪いところを見せたと悔やみつつ、瞬時にだらけた姿勢を整えた。
「あの、さっき、私がここに来たこと誰にも言わないでほしいんです…約束してくれますか…?」
女は何処か不安そうに俺を見つめた。
「………。」
「ん、どうしたんですか…?」
「悪い。もうそれとなく、それとなーく言っちまった。」
「えっ!!?ほ、本田さんに直接!?」
余程驚いたのか目を見開いでいる女を前に、俺は顔を背けて一度だけ頷いた。
「うぅー…どうしよ、これじゃおばあちゃんに告げ口されてばれちゃうなぁ…」
「何かまずいのか?」
「少しだけ…。理由は言えないですけど… あ、えっと私内海 ひなです。今更ですけど、初めまして」
「あー…よろしくな。俺様はギルベルト・バイルシュミットだ!」
俺の名前を聞いた瞬間女は口をパクパクさせ、率直にかっこいい名前ですね!と言った。
…こいつのいうこと一つ一つが何処かしら直球…つか、素直で俺の調子が少し狂うのは言うまでもない。
可愛いな。