第2章 感情
ひなはきょとん、と俺を見返す。
つい口走ったことを後悔しながら、ひなの方を一瞥する。
反応は予想通り。
「…………ひな?」
じゃなかった。
「あの…えっと…ごめん、なさい…」
俺の後ろに行ったかと思うと、しがみつくようにくっついた。
顔は伏せて見えないが、髪の間からちらりと見える耳は確実に赤い。
恐る恐る触れてみると、びくっと反応し、真っ赤な顔で「ごめんなさい」と一度だけ呟いていた。
はっきり言って可愛い。
「お前、謝ってばっかだぞ」
おどけて笑ってみせると、ひなもつられて笑った。
俺の指をすり抜けてくさらさらの髪、笑って微かに震える肩、色の白くて小さな手、高くてか細い声、すべてが儚くて愛おしい。
刹那的なものであっても、構わない。
俺はコイツ、ひなのことが好きなんだな。
「私も、毎日貴方に会いたいです」