第2章 感情
「……あの…ごめんなさい…」
ひなは俯きがちになったまま俺の腕の中から抜けて行った。
そして、いつもより距離を取って俺に笑いかけた。
俺の心臓は誰かに握られたような感覚。
あるいは、鉛が刺さったかのような感覚。
とにかく、痛くて、苦しくて、辛い。
目の奥から出て来そうな何かを感じ、すぐに俺は上を向く。
俺のそんな態度を見て察したのか定かではないが、急にひなは俺に話題を振った。
「そうだ。雨、強いですし上がって行きませんか?」
「……………いや、車で来たから大丈夫だ。」
コイツと二人になって、
俺が何か変なことを言ったり、したりしないよう断った。
今の俺だとしかねないしな。
「………だけど、」
あぁ、俺は馬鹿かもしれない。
「一分でも、一秒でも、なんでもいいから」
いや、断言するぜ。
「毎日お前に会いたい。」
こうやって無理言ってまた迷惑かけるんだもんな。