第2章 感情
「…うっわ、すげえ!!」
「えっへへ~、いつも以上に腕によりをかけたよー!どんどん食べてね~」
テーブルに並べられた数々のトマト料理。
物凄く美味そうだけど、食う気にはなんねえ。
赤い料理は食欲をそそらせる、っつってたけど、なんか今はそんな気もしない。
でも、写真は勿論撮る。携帯でな。
ブログ用、ということじゃなく、
いつかまたひなと会えた時の為の話題作りにな。
使うことあんのかも分かんねえよ。
「おやおやおやおや…フェリシアーノ君、これは流石に作りすぎではないですか…?私たちではとても食べきれませんねぇ」
「…そうか?これくらいの量なら」
「食べきれませんねぇ」
無理矢理かぶせてくる本田の様子がかなりおかしい。
何がしたいのかよくわかんないが、料理を素早く箱に詰めて、それを俺に渡してきた。
「……ん?これどうすればいいんだ…?」
「もちろん、内海さんお宅へのお裾分け用ですよ」
「…と、届けてくる…!ルッツ、車借りるぞ!」
玄関先に置いてあった車の鍵を握りしめ、家を後にした。
箱を傾けないように助手席に固定すると、俺はシートベルトも付けないでアクセルを踏んだ。