第1章 奥まで愛して
「がシンデレラ役だからだ」
どうだ。
これで納得したか?
エルヴィン団長はそう言って兵長の頭に手を置いた。
ポンッと乗せられたそれを乱暴に振り払って兵長は言う。
「が姫だと?」
「そうだ。ちなみに俺が配役を決めた」
「ふざけるな……お前、それじゃあ俺が王子様やるしかねぇだろうが…‼︎」
兵長がそこまで言った時、堪らずと云った様子で分隊長が吹き出した。
顔を真っ赤にして笑いを漏らしている。
即座にそちらを見やる兵長。
鬼のような形相だ。マジで怖い。
「おい、クソメガネ……何がおかしい」
「いや〜リヴァイは本当にの事が好きなんだなと思って!」
“俺が王子様やるしかねぇだろうが”
数秒前の兵長をモノマネしながら分隊長は笑う。
「姫と出会う前のリヴァイからじゃ考えられない台詞だ」
愛は人を変えるんだね。
そう付け加えた分隊長はしばらくの間、楽しそうに肩を揺らしていた。