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[進撃]奥まで愛して[R18]

第1章 奥まで愛して


『わあ……綺麗…‼︎』

その中身を見た私は思わず目を見張った。感嘆の声を漏らしているのは私だけではない。

あれだけシンデレラに反対していた……というより王子役を演じることにだけど、兵長ですら感心している。

「知り合いに腕の良いガラス細工職人がいるんだが」

団長は箱に視線を落としつつ言った。

一点の曇りなく透き通るそれは、深紫のクッションに包まれて其処に鎮座している。

世界にひとつしかないガラスの靴だ。

「事情を説明したら快く引き受けてくれたよ」

ふわりと笑う団長はとても嬉しそうだ。

公演の発足人である彼もまた童話“シンデレラ”が大好きなのである。

以前兵士を集めて紙芝居をやってみせた際、真っ先に涙をこぼしていたのは団長だった。
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