第1章 奥まで愛して
“人々の傷付いた心を癒したい”
巨人の恐怖が消え去ったある日。
エルヴィン団長のそんな一言がきっかけで兵団公演の発足は決まった。
愛する人を巨人によって失った人類。
彼らの心を癒すために巡業公演を開催すると云うのだ。
これは元々エルヴィン団長が観劇好きだと云うことに由来するのだが、閉鎖されたこの世界に私がもたらした異文化の影響によると言っても過言ではない。
何故なら。
「〜!シンデレラの台本は完成したかい⁉︎」
轟音を立てて部屋のドアを吹っ飛ばしたのはハンジ分隊長だった。
彼女は“遥かなる異国”の童話が大好きなのだ。
特に、シンデレラがお気に入りである。