第1章 奥まで愛して
『貴方こそ…わっ、私の運命の人…!』
ヘタクソ。
兵長の唇が動いている。
我ながら大根役者極まりない。
しかし、そう落ち込むのも束の間。
『ひゃあっ』
足に氷のような冷たさを感じて思わず変な声が漏れてしまった。
視線を下ろすと裸になった足がガラスの靴を纏っている。
横に添えられた兵長の手。
愛しい指が足の甲をつう、と撫でた。
「着飾っていなくとも君は美しい……シンデレラ、僕と結婚してくれ」
台本に添った言葉とは裏腹に私のふくらはぎへと移されていく指。
乳房にするそれのように優しく揉みしだかれると、秘部が熱くなるような感覚に襲われた。
「返事は……?」
『んっ』
「ちゃんと言わなきゃ観客に伝わらねぇだろうが」
腰を上げた兵長の吐息が唇を伝う。
甘いキスを落とす彼は台本を放り投げると私をベッドに押し倒した。