第7章 バレンタイン:ジャーファル
「ところで、みんなは作ったら誰に渡すの??」
暇になるからか、ピスティが話題にしたのはそれ。
「そうねぇ…。友チョコは今みんなで作ってるものね?八人将ぐらいしかあげる人いないわ…あとはアラジンくんかしら?」
「あげる人…ですか。」
「モルジアナはアリババ君にあげないの??」
「アリババさん…ああ、義理チョコというやつですね?」
…えっ、アリババ君ってそんな立場なの?
ここは普通…本命…なんじゃ。
「ア、アラジン君とか?」
「アラジンにもあげたいですね。…ええと、友チョコ…でしょうか?でも感謝も伝えたいです…。」
アラジン君は友チョコなのね!?
私の中で友チョコ>義理チョコなんだけどな!?
「友チョコでもちゃんと感謝は伝わると思うよ。…それより本命じゃないの…アリババくん…。」
「本命…ですか…?」
わりと悩んでるモルジアナ。
いやでも…え、てっきり本命だと思ってたよ?
なんかアリババくんが不憫というか…可哀想に思えてきた。
チョコあげようかなアリババくんに…義理で。
「そーゆーセリシアはどうなの?やっぱり…?」
「…うん、ちゃんと本命渡すよ?」
「「ひゃー!!!」
「なんなの!!」
冷やかされるとわかってて宣言する私も私なのかもな。
わたしの本命は、前から変わらない…というかまあ、付き合ってるのだけども。
この国の政務官であるジャーファルが、恋人であり私の好きな人だ。
「セリシアさん、大好きな人がいたのですか?」
「えっ!?あっ、うん…いる。」
そっか、モルジアナは誰か知らないんだ。
…この反応はなんか恥ずかしいなあ。
「いいわねぇ本命を渡せるって。あーあ、相手が欲しいわ。」
「…この反応は反応であの人が可哀想になるな。」
「え?誰?」
どう見たってシャルルカンさんには好かれてるよね。
ここ最近あの人がそわそわしてるの知ってるからね。