第5章 さよならの直前:マスルール
セリシアSIDE
「あ、いた。」
あれから一週間。
私はまた元の女官に戻った。
それも、マスルールさんの世話役のね。
「もー、マスルールさん。またこんなところで寝て。」
確かにこの国は暖かいし、日の当たる場所なら眠くなるのもわからなくない。
だけど、無断でいなくなられると、探すの大変なんですけど。
「どうするんです、国になにかあってあなたを必要としていたら。」
仮にも八人将なんだし。
「・・・でも。」
さっきまで、寝ていたはずなのに。
マスルールさんは目を開けてこっちを見ていた。
「そしたらセリシアが呼びに探しに来てくれる。」
・・・。
なんか、さらっとすごいこと言われたような。
気のせい・・・??
「・・・もちろんですけど。」
絶対に見つけられる自信があるわけじゃない。
けど、見つけたいな、とは・・・思う。
「ところで、その後家族は大丈夫なんスか?」
「え?ああ、うん。4日前にこっちに来たよ。そのあと結構すぐに住むところ決めて、大分普通にいるよ。」
驚くほど速く普通の生活に戻ったから、逆に心配したけど、当然そんな心配はいらなかったわけで。
「・・・あ、そうそう。マスルールさんに言わなくちゃいけないことがあるんです。」
すると、マスルールさんは少し身を固くする。
・・・何か、変なことでも言っただろうか??