第5章 さよならの直前:マスルール
セリシアSIDE
「失礼します。セリシアさんをお連れしました。」
マスルールさんに連れられて王宮の王様のいる部屋へ来た。
ちゃんと医務室の人の許可はとったから、すでに太陽も沈み始めた時間となってしまった。
「ん、ありがとう。」
中に入ると、そこは執務室だった。
王様のそばにはジャーファルさんがいる。
「わざわざすまないね。本当はこの部屋じゃなくてふさわしい部屋にしようかと思ったんだが、いつ来れるかわからなかったものでね。」
「はあ・・・。」
なんと返事すべきかわからず、曖昧な返事になった。
マスルールさんは扉の横に待機している。
うーん、どういう状況なんだろ?
「要件を申しますね。実は、あなたが船で出発した後、あなた宛ての手紙が届いていたのです。」
ジャーファルさんはそこまで言うと、一瞬ジロリと王様を見た・・・気がした。
王様は顔を引きつってるし・・・。
「実は、王宮に届いていた手紙をまったく片付けないで掘っておいたんだが・・・。さっき整理したら、これが見つかったんだ。」
そう言ってだしたのは白い封筒にインクで宛先が書いてあるもの・・・あ。
「その宛名・・・。」
「そう、君だ。ただ君が出発した後だったんで、勝手に中身を確認させてもらったよ・・・。すまないな。」
「大切なものならば届けなければならないと思いましたので。悪く思わないでください。」
まあ、かまいませんが・・・。
でも、誰からだろ?
「とりあえず、これは渡さなければ、と思ってな・・・。とりあえず、読みなさい。」
「ありがとうございます・・・。」
手紙を受け取り、中を出す。
紙は一枚で、それは親からのものだった。