第5章 さよならの直前:マスルール
セリシアSIDE
「え?」
夕方、マスルールさんが医務室にいた私のところに来た。
海に落ちた7人・・・だったはず・・・は、医務室に行かされた。
1人の子どもは母親が付いていたけれど。
「王宮に、ですか?」
「ええ。」
なんでまた・・・。
もうやめたはずなのだけど。
何か書類を書かなければならなかったとか?
っていうか、そうだ、気になることはたくさんあった。
「あの、マスルールさん。どうして船に生物が現れたってわかったんですか?」
バルバットよりは近かったとはいえ、それでもなかなかの距離だった。
いくらふぁなりすっていうマスルールさんでも、見えるわけもないし音が聞こえるわけでもないはずなのに。
「さあ・・・。」
さあって!
「でも、セリシアさんの声が聞こえた気がしたんです。」
「私?」
まあ、悲鳴も上げたし、助けてって言わなかったわけではないよ?
だけど・・・ねえ・・・・。
「それで、気になって。それで、半ば無理やりですが、そっちに向かったんです。」
「・・・。」
軽く、呆れた。
そんな、可能性だけで、気のせいかもしれないのに助けに北だなんて。
・・・でも。
「じゃあ、そのおかげで私たちは助かったんだね。」