第5章 さよならの直前:マスルール
セリシアSIDE
抵抗するのにも、結局は弱いのが人間。
ましてや、兵士でもなんでもないただの女。
身体に力を入れて、時々襲ってくるかなりの痛みを少しでも和らげるほかなかった。
ぬるぬるしてる触手だからか、他のところにも力が分散してるからか、たまたまか。
ものすごくつらいけど、頑張れば耐えれなくはなかった。
幸い、まだ決定的な痛みはなかった。
でも、それももう無理・・・。
このまま、意識を手放してしまった方が、いいのかな・・・。
結局、お母さんやお父さんに何の孝行もしてあげられてないな・・・。
「ごめんね・・・。」
両親だけじゃない。
マスルールさんにも、悪いことした気がしてしまう。
あの人の言うとうり、残っていれば・・・こんなことにはならなかった??
少し周りを見ると、海に人が投げ捨てられるのが見えた。
・・・この生物は、何を考えているのだろう。
わからないけれど、それでも。
私の身体もみんなと同じように投げ捨てられたのは確かだ。