第5章 さよならの直前:マスルール
マスルールSIDE
「・・・何、これ!!」
思わずそう発したのはヤムライハさん。
さすがにいくら大きいとはいえ、鳥の上に立つのは気が引けたため、ヤムライハさんにお願いしてとばしてもらうよう頼んだ。
快く引き受けてくれて、しかも一緒についてきてくれた。
そしてさすが魔法。
ものの十数分で船にたどり着く。
「とりあえず、船の上におろすわよ。」
「うッス。」
巨大なタコに襲われている船。
幸い、まだ船に壊れた様子は見えなかった。
だが、一つ不安があった。
セリシアの姿が見えなかったのだ。
「とりあえずはこのタコを何とかしなきゃね・・・!」
本当は一刻もはやく彼女を探したいところだが、このタコをどうにかしない限り、それもつらいはずだ。
タコは人をつかんでは握りしめたり海に捨てたりしているようだったが、捨てられそうになった人間はヤムライハさんが魔法で浮かせていた。
「人の方は私が何とかするから、マスルール君はタコをお願い。」
「わかりました。」
どうか、無事でいてほしい・・・。