第4章 黙祷:ジャーファル
ジャーファルside
「本当は、誰にもいわない方がいいんだと思う。言ってしまえば、私は少し楽になる。でも聞いた人が重くなるから。」
彼女はそう前置きをした。
きっと、いままでそう考えて願いをいえなかったのだろう。
彼女は私の方をみて、言った。
「帰りたい。故郷に、平和なあの日に、帰りたい。」
そういうと、セリシアはまた下を向いた。
涙をみられまいと思ったのだろう。
・・・願いは、思った以上に一途に感じた。
同い年とは思えないくらいに一途にきこえた。
「ありがとう、ジャーファル。こんな話きいてくれて。」
少したって落ち着いたのか、顔をあげて涙も止まって、どこか強い笑顔になった。
「・・・大丈夫です。この国にはヤムライハの結界もありますから、そんな脅威におびえなくても。私が、あなたを守りますから。」
「・・・勇ましいね。」
「そうですか?・・・願いについてですが・・・。」
これに対しては、正直うまく言える自信がない。
「あっ、気にしないで。別に「私はあなたに帰ってほしくないです。」」