第4章 黙祷:ジャーファル
セリシアSIDE
「二年前、私のいた国は攻撃されました。空から大きな爆弾を落とされて。」
思い出すのは、本当は苦手だ。
怖くてしょうがないんだ、本当は。
「町中火の海で。みんな・・・死んでしまった。」
生き残ったのはたった数十名。
私は奇跡にも、その中に入った。
火の海と化したあの国で生き残るのはただでさえ困難だった。
そこから逃げるのは、もっとつらかった。
なのに、私は生きている。
知り合いはみんな死んでしまったのに。
「だから、生きてる私が彼らにできることは、せいぜいそれだけなんだ。」
やば、泣きそう。
お母さんは、私を空からの脅威から守って死んでしまった。
友達は、目の前で火に包まれた。
怖かった。
その後は必死だった。
今こうして生きていられることが、奇跡の塊なんだ。
「・・・つらいなら、今だけ泣いてしまいなさい。」
ふわっと包み込むように抱きしめてくれた。
そんなの、ずるい。
いままでこらえてたのに、泣いちゃうじゃん・・・。