第6章 分隊長の恋/ジャン
なんとも不恰好なプロポーズ。
キスする直前の距離で俺を見つめる。その視線に耐えられなくなって、ついに顔を逸らす。
断られたらどうしよう。
生きていける気がしない。
いや、前向きに捉えるんだ俺。
前線を退くことを断られたからってまだ振られた訳じゃな……っ
『はい』
はい?
え、今、はいって言った?
俺は目を見開いて逸らしていた視線をに戻した。
目に入ったのは彼女の瞳。
赤くなった眼の淵に一粒の涙が光っている。
『分隊長のお嫁さんにして下さい』
私なんかで良ければ。
の唇はそう言ってにこりと笑った。
奇跡だ。
そう思った。
思わず出そうになった涙を堪えたが、
それが無駄な努力だった事は言うまでもなく。