第6章 分隊長の恋/ジャン
『……え?』
困惑したの声音。
俺は慌てて取り繕うような言葉を並べていく。
「い、いや……退団は極論であって医療班に転属でもいいし、とにかく前線を退いてくれって……意味で、その」
此方をジッと見据えるは益々意味が分からないと云った様子だ。
“どうしてそんな事言うんです?”
彼女の瞳がそう訴えかけてくる。
「……っ」
どうしよう。
今更だが断られる気しかしない。
だってそれなりの決意で調査兵団に入団したのだろうし、突然こんな事を言われたって困るだけだろう。
『分隊長……どうしてそんな事言うんですか…?』
案の定。
彼女が発した台詞は予想通りのモノで。
俺は口から心臓でも絞り出すんじゃないかってくらい苦しげな声でこう返す。
「結婚、してくれ……って意味で、言ってたんだけど…なんかゴメン」