第6章 分隊長の恋/ジャン
「それじゃあね、ゆっくりしていって下さいね。我が家のように使って頂戴な」
母は弾んだ声音でお節介を焼くだけ焼いて寝室へ引っ込んで行った。
おばちゃん独特の勢いに押されて困っていただったが、今は母に出されたミルクティーを美味しそうに飲んでいる。
『素敵なお母様ですね』
「そうかな……はは」
照れ笑いを返して暫しの談笑を楽しむ。
今日の芝居はどうだったとか、
母のオムレツが美味しかったとか、
何を話すにも楽しそうなを見る度、俺の中でひとつの決意が固まっていった。
今、言うべきか。
悩み抜いた挙句とりあえず風呂に行く事にした弱気な俺。
「一緒に入る?」
『隊長のご実家でそんな事出来る訳ないでしょう』
淡い期待を抱いて放った誘い文句はに見事一蹴されるのであった。