第6章 分隊長の恋/ジャン
一部の同期しか知らぬ過去の断片を聞いたは複雑そうで、でも何処か嬉しそうに俺の話を受け止めてくれた。
そうこうしている内に馬車は生家へと辿り着く。
古ぼけてしまった我が家。
薄っすらと明かりが灯っている窓を見て、母が在宅中である事を確認する。
驚くだろうな。
恋人はおろか、女友達ですら連れて来た事なんて無かったから。
「ただいま」
緊張した面持ちでいるの手をギュッと握り締めてドアを開けた。
懐かしい木の香りが鼻を突く。
ああ、帰って来たんだな。
再び家に戻って来れたことを妙に感慨深く思いながら敷居を跨ぐと、これまた懐かしい母の声がした。
「じ……ジャン坊…‼︎」
ぶはっ!
その瞬間、
が吹き出したのは言うまでもない。