第6章 分隊長の恋/ジャン
「此処で初めて仲間を失ったんだ」
俺の指示が原因だった。
そう付け加えるとは些か驚いたような顔をした。
『確か……その時、隊長はまだ』
「ああ。卒業したての新兵だった」
『その頃から指揮官としての才覚が芽生えていたんですね』
気を遣ってくれているのだろうか。
優しい声音でそう言うの手を取って俺はとある友人の話をする。
“ジャンは強い人ではないから”
あの日彼がくれた言葉を今でも一言一句忘れずに覚えていること。
その友人のおかげで、
“自分に出来る事”と“自分がすべき事”に気付けたこと。
それがマルコと云う名の優しい青年であったこと。
「俺が今こうしてお前と居れるのはマルコのおかげなんだ」
憲兵に入ってたらに出会えてなかったかもしれないだろ?
冗談めかして笑うと、彼女もまた目を細めて笑みを零してくれた。