第6章 分隊長の恋/ジャン
『隊長って本当に可愛いですね』
ふにゃり。
そんな表現がピッタリな彼女の笑顔はまさに女神だった。
俺は一応男な訳だから“可愛い”だなんて言われても嬉しくない筈なのに。
に言われるとどんな言葉でも心が温かくなるから不思議だ。
「なあ、」
俺はふとある事を思い付く。
それを提案しようと彼女を見つめると、は愛らしい瞳を丸くして問いたげな顔をした。
「俺ん家行こう」
『え……っ』
分隊長の家ですか⁈
心底驚いたと云う様子の。
至って真剣に俺は言葉を返す。
「そう。俺の生まれ育った家」
『な、え……何でですか…?』
戸惑い顔で居る彼女に「内緒」と一言返して俺は馬車を呼んだ。