第5章 オトナになろう/エレン
コクリ。
彼女は恥ずかしげに頷いた。
そのまま俺の胸板に顔を埋めて、小さな体を小刻みに震えさせている。
「俺……初めてだけどいいのか」
腕の力を強めながら問うた。
『私も、なの……一緒だね』
言いながら微笑んだ。
俺達は互いの瞳を食い入るように見つめ合う。
どちらからともなく近付く距離。
混ざり合っていく吐息。
二度目のキスはまるで砂糖菓子ように甘くて、心が幸せで満たされていくようだった。
『ん……っ』
知識だけで知っていた。
大人のキスは舌を絡めるモンなんだって事を。
やり方も何も分からねぇが、
恐る恐る彼女の唇を舌で割ると徐々に鼓動が昂まってくる。