第4章 壁に耳あり/沖田
『もう……仕方ないなァ』
少しだけだからね。
私はそう付け加えて大人しく総悟の腕に収まった。
満更でもない、と云うか本当は頬がニヤけるほど嬉しいんだけど。
それは私だけの秘密。
「あー……落ち着く」
顎を私の肩に置いた体勢で総悟が喋る。
背中に回されていた筈の手が徐々に下がってきてるのは、気のせいだろうか。
『総悟くん。ドサクサに紛れておしりを触るのはやめようね』
ペシッと彼の手を叩いて一言。
しかしそれが総悟のサド魂に火を付けてしまったようで。
「痛たたた……あ、折れた、これ絶対指の骨折れたわ」
“どう落とし前付けてくれるんでィ?”
そんな台詞を吐くチンピラ警察官はこの上なく悪どい笑みを見せた。