第4章 壁に耳あり/沖田
『そっ……総悟…⁉︎』
店には常連用の個室が幾つかある。
それらは常に襖が締め切られていて、外から中を伺い知ることは出来ない。
とは云っても、
世話焼きのおやっさんがいつ入ってくるかも分からないし……とにかく此処でイチャつくのはマズいのだ。
『駄目だよ……誰かに見られたらどうするの…‼︎』
私は必死に総悟の頬を押し返した。
勿論ビクともしない。
見た目はヒョロイ癖に無駄に鍛えてるからな、この人。
『ちょ……マジで、離してってば』
「いいだろ少し位……こちとら散々仕事詰めで充電切れなんでィ」
耳元でそっと囁く総悟。
その声音は確かに些か疲弊したように聞こえる。